グルーヴ考察、第二回です。
前回の記事で、ここで語る「グルーヴ」というものの定義を説明しました。
バンドの練習などで、「グルーヴ」の議論になる事もあると思いますが、大体決着がつかないですよね?
人それぞれだとか、練習不足だとか、“そもそも論”で決着する事もあります。
そうなってしまうのは、メンバーが「グルーヴ」というものを体で理解していないからです。
「グルーヴ」の状態を体で理解していれば、言葉で議論を交わすときも非常にクリアで建設的な話が出来ます。
「グルーヴ」というものを言葉だけ表すのはなかなか難しいです。
「グルーヴ」について、言葉いがいの共通認識が必要となってきます。
前回は、ここで語る内容の定義付けはしましたので、次は目と耳でそれを感じてもらいます。
今回はある動画を見ながら「グルーヴ」している状態とは一体どのような状態なのかを説明します。
では早速、こちらの動画をどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=srCZE_jIYdk
これは、Meshell Ndegeochello(ミシェル・ンデゲオチェロ)がバークリー音楽大学で行った講義の一部です。 ギタリストで彼女の作品にも参加しているDavid Fiuczynski(デヴィッド・フュージンスキー)もいます。
この動画は、バンドが「グルーヴ」していない状態と「グルーヴ」している状態、そして徐々に「グルーヴ」してゆく様が収録された、大変貴重な映像です。
演奏曲はMeshell Ndegeochello(ミシェル・ンデゲオチェロ)の『Cookie: The Anthropological Mixtape』より、“Dead Nigga Blvd.”です。
もちろん、バークリーの生徒ですので皆さん楽器の演奏はとても上手です。
ただ、前半の演奏を聴いてもらうと分かるように、聴いていてもあまりノってこないですよね?
体の動きもどこかぎこちなく感じます。
しかし、後半でMeshell Ndegeochello(ミシェル・ンデゲオチェロ)が参加してベースを弾きだしてからは、バンドがどんどん「グルーヴ」してきます!
生徒の体の動きも音楽にノってきていますし、何より聴いているほうも、自然と体が動き出したのではないでしょうか?
この動画の素晴らしいところはそれだけではありません。
「グルーヴ」というのは、メンバーの中で最もグルーヴしている人に引き寄せられるものだという事が、この動画からは良く分かるのです。
バンドの練習中などで、バンドのグルーヴがいまいちなのを他のメンバー(大体一番下手なメンバー)の演奏のタイミングの問題にして、そこを改善しようと繰り返し練習する事があると思います。
しかしそれは間違っていて、実は「メンバー全員がそもそも満足のいかない程度のグルーヴしか持ち合わせていない」という事なのです。
「グルーヴ」している人が最低ひとりいて、他のメンバーがきちんと周りを聴いていれば、「グルーヴ」している人のレベルに応じた「グルーヴ」が全体を支配するようになるのです。
では、どうやったらグルーヴするようになるのか、という問題が出てきます。
グルーヴしている人と一緒に演奏する事が一番なのですが、そういうシチュエーションが都合良くいつでもあるわけではありません。
次回からは、グルーヴさせるコツについて細かく分析していきたいと思います。
「タメと瞬発力」
「On The ONE」
「リズムずらし」
余談ですが、こちらが演奏されていたMeshell Ndegeochelloの『Dead Nigga Blvd.』という曲です。
かっこいいですよね!
【グルーヴ考察】その5「On The ONE」
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