ビジネス用語で、「コンフォートゾーン」「ラーニングゾーン」「パニックゾーン」というものがあります。
「コンフォートゾーン」とは、今の自分のスキルで安心してこなせる範囲の事です。例えば毎日の変わらない生活だったり、特に心配もなくこなせるルーチンワークだったり、人それぞれ場面によって様々です。
「ラーニングゾーン」とは、「コンフォートゾーン」の外側にあり、自分の今までのスキルが通用しない範囲です。ですので、色々と嫌な思いをしたり、苦労したりします。
ただし、この環境に身を置く事で、より成長する事ができます。
「パニックゾーン」とは、「ラーニングゾーン」よりさらに外側にあり、自分の理解の範疇を越えているため何が起きているかも分からず、パニックに陥る範囲の事です。
この範囲においては、体は緊張で固まり、視野は一気に狭まり、まともな精神ではいられなくなります。
人というのは本能的に 「コンフォートゾーン」を求めるのですが、成長する為には意識して「ラーニングゾーン」へ飛び込んでいく必要があります。
そして、成長すればする程「コンフォートゾーン」と言うのは広がっていきます。
以前は難しかった様々な事が、安心してこなせるようになります。
これは、音楽でも一緒だと思います。
練習と言いながら、無意識に同じフレーズばかり繰り返していませんか?
練習でも、「コンフォートゾーン」は存在します。
気づいたら、今のスキルで問題なく演奏出来る練習ばかりやってること、皆さん経験あると思います。
苦手な事ばかりをやらなくては練習ではない、と言う意味ではありませんが、自分の得意な事、苦手な事を意識して練習をすることで、「コンフォートゾーン」から抜け出す事が出来ます。
ただし、「パニックゾーン」には注意が必要です。
本に書いてある事がチンプンカンプンな状態で理論を勉強してみたり、到底弾けないであろう難曲を練習うしてみたり、これは効率的ではありません。すこしチャレンジしてみる程度で大丈夫でしょう。成長すればそのうち「コンフォートゾーン」が広がり、難なくこなす事が出来るようになります。
同じジャンルで、同じ人とばかり演奏していませんか?
練習だけではありません。
人とのつながりやコミュニティにも「コンフォートゾーン」は存在すると考えます。
長年音楽をやっていると、だんだん周りの気の合う仲間とばかり一緒に演奏するようになってきませんか?
60才になった時に気づいたら、青春時代に流行った曲を、40年以上も同じ人たちとばかり演奏して来た、なんて人もいるのかも知れません。
もちろん、同じ人達とずっと同じ事を続ける事で、精度や再現度などは上がったのかも知れません。
長く続ける事の重要性というものもあります。
しかし、無意識に「コンフォートゾーン」から抜けることを避け続けた結果だとしたら、それはとても残念な事です。「コンフォートゾーン」から抜け出す事で、もっともっと成長出来たのかも知れません。
世の中には、様々な音楽のコミュニティが存在しています。
ライブハウス、バー、楽団など、様々な単位で人が集まっています。
しかしながら、例えばロック系のライブハウスコミュニティの中の人と、クラシック楽団コミュニティの中の人が一緒に音楽を作り上げたり演奏したりする事はそうそうないと思います。
ロック系の人からすればクラシックは「ラーニングゾーン」、クラシック系の人からすればロックは「ラーニングゾーン」なのです。お互いに絶対成長出来るのです。
同じ音楽なのに、「ロックなんて」「クラシックなんて」などと避ける事は、悲しい事ですし、成長する機会を損失していると気づいて欲しいです。
意識して「コンフォートゾーン」から抜け出していこう!
「コンフォートゾーン」に身を置く事は、自らの生命を守る為の本能であり、決して悪い事ではないと思います。「ラーニングゾーン」に飛び出す事で、自分の演奏を否定されたり、自分の実力の無さに落ち込んだり、緊張して嫌な汗をかいたりするかも知れません。
しかし、「コンフォートゾーン」は広がります。
昔は嫌だった事や冷や汗をかいていた事が、難なくこなせるようになります。
そうすると、音楽がもっともっと楽しくなると思いませんか?
「コンフォートゾーン」からどんどん抜け出していく事こそ、本当の意味で成長出来るチャンスなのです!そしてコミュニティを広げ、自らも成長していく事こそが音楽の一番楽しい部分であり、本質であると思います。
コミュニティの「コンフォートゾーン」も広がる!
個人が「コンフォートゾーン」を広げる事で、属するコミュニティの「コンフォートゾーン」も相乗的に広がっていくと思います。
つまり、沢山の人が意識して「コンフォートゾーン」を抜け出す事により、間接的に地域全体の音楽レベルが上昇していくという事です!これはとても素晴らしい事だと思います!
どんな小さい事でも、「コンフォートゾーン」を抜け出す事は何らかの形で地域に貢献しています。
是非とも、勇気を出して「コンフォートゾーン」を抜け出しましょう!