ベーシストって、どんなイメージですか?
縁の下の力持ち、地味、そんなイメージですよね?
実際、ベースの役割は全体のハーモニーを一番下で支える事と、グルーヴを作る事です。
しかし、ジャム・セッションの現場では、それに加えてアドリブソロを要求される事が多々あります!
これは、実はベーシストに取ってかなり切実な問題なのです。
なにせ、普段地味な役回りなのに、いきなり主役にならなくてはならないんです。
アドリブソロが一番苦手なパートは、ベースであると言っても過言ではありません!
それでは、何故ベーシストがアドリブソロを苦手とするのか、解説しましょう!
いつものクセで小節の頭からルート音を弾いてしまうから!
ベースは、コード(ハーモニー)の一番下の音を弾くのが役割です。
それはルート音と呼ばれる音なのですが、一番低音のベースがこのルート音を弾く事で、ハーモニーがグッと安定するんです。安定してしまう。
「終わった感」が出てしまうんです。
初めから終わった感が出ちゃってますから、ソロが始まった感じがしないんですよね。
じゃあルート音は使っちゃダメかというと決してそういう訳ではなく、使い方によっては問題ないんです。
ただ、小節の頭でベースがルート音を持ってきてしまうと、どうしてもソロではなく「ベースライン」っぽくなってしまうんです。
もちろん、ベースラインっぽいソロというのも結構カッコ良かったりするんですが、ソロで周りの注目を集め、周りの音量もベースソロに合わせて小さくなっている、または演奏を控えている時にベースラインを弾き続けるのは、ある程度セッションに慣れていないと精神的に難しいでしょう。
伴奏の時のように、ずっと弾き続けてしまうから!
これも、「ベースライン」っぽく聴こえてしまう原因のひとつです!
ベースは普段からアンサンブルの下支えをしなくてはならない為、休み無くずっと弾き続ける事が多いんです。だから、長い拍数休むという発想がそもそも無い場合が多いのです!
実は印象に残るメロディって、適度に休符が入っているんです。
ずっと音が鳴り続けていたら、ソロ全体がぼやけてしまって全く人に届かないんです。
テンションノートやコードトーンを起点にして展開するのが苦手
テンションノートというのは、ルート、3度、5度、7度、9度…と積み重なったコードの9度以上の音、コードトーンというのは、7度までの音の事ですが、先に述べたようにベーシストはルートを起点にフレーズを構成してしまうクセがあるので、テンションノートやルート以外のコードトーンから始まるメロディというのが体に入っていない事が多いんです。
しかし、ギターやピアノ、管楽器のアドリブソロなんかは、結構テンションノートやコードのトップノート(ハーモニーの一番上の音)から始まるメロディだったりします。他の楽器は普段からトップノートを演奏したり、ハーモニーの上の方の構成音を中心に演奏している為、そういうフレーズが体に入っているんだと思われます。
じゃあ、具体的にどうすればいいか
で、気になるのはアドリブソロっぽく聴こえるフレーズをどう組み立てるかですが、先ほど述べたいくつかの原因の逆をやればいいのです!
Aブルースのコード進行で説明しますね。
まず、AブルースはAのメジャーペンタトニックスケールかAのマイナーペンタトニックスケールを使えば音を外す事は無いんですが、この辺の説明はまた今度にします。
とりあえずAのペンタトニックを軸に演奏するとして考えます。
まずしょっぱな、“頭の音を演奏しない”事です。
つまり、1小節目の3拍目辺りからフレーズを弾きはじめるんです!
実際やってみたら分かると思いますが、そうすることでベースラインっぽさが一気に無くなるんですね!
ベースが小節の頭を休む事なんてほぼないんですから。
次に、ルート音の取り扱いですが、“最初にルート音から始めない”ようにして下さい。それ以外の、例えばコードA7の7度、Gの音から始めてみて下さい。そして、“フレーズの最後にルート音を”持ってきてみて下さい。一気にソロっぽくなります。
この時、A7のコードの時はAで終止し、D7コードの時はDで終止するようにしてみると、いい具合にコード感も出て分かりやすいソロになるので、慣れないうちは、きっちりコードのルートで終わらせる事がオススメです。
やってみたら分かるのですが、同じフレーズの最後の音をAにすればAのコードに、最後の音をDにすればDのコードに、最後の1音が違うだけなのにきちんと違うコードに聴こえるんです。使っている音は同じなのに、並べる順番で効果が変わってくる。フレーズって、奥が深いですよね!
で、頭を抜いた後、どこまでフレーズを続けるかですが、次の小節や、その更に次の小節の3拍目くらいまで続けるようにしてみましょう。そのフレーズがコードが変わる小節線をまたいだりすると、更にいい感じになります。
“小節の途中から入って、途中でコードが変わって別の小節の途中で終止する”、“ルート以外の音から始めてルートで終わる(ルート以外で終わるのは上級編)”というスタイルを練習すれば、ベースラインっぽいソロから抜け出せますよ!
実際やってみると、これがなかなか難しい!
頭がこういう考え方に慣れていないので、頭のトレーニングにもなります。
アドリブソロが苦手、フレーズが思い浮かばない、フレーズがベースラインみたい、という人は是非試してみて下さい!