ジャズやファンクのグルーヴを研究している人にとって、頻繁に聞いたり使われる言葉。
「レイドバック」
この言葉の響きから、こう捉えることが多いのではないでしょうか?
「 レイドバック = 音を遅らせて演奏する、モタって演奏する 」
バックだから「後ろ」。つまり、「拍子の後ろで演奏する!」って単純に思ってしまいがちですね。
実は、この捉えかたをするとレイドバックの考え方から非常にずれてしまいますので、今回はレイドバックについて、その意味と音楽における使い方をご紹介します。
そもそも、レイドバックってどんな意味?
レイドバックを辞書で調べてみよう!
何かの言葉を調べるときに使うのが、辞書。今回は「laid-back」という英語の言葉ですので、英和辞典を引いてみましょうか。すると、こう書いています。
ということだそうです。
さらに、英語の言葉の意味をより正確に知るには英英辞典が役に立ちますので、そちらでも調べてみましょう!そこには、こう書いてあります。
どこにも「後ろ」なんて言葉は無いんですね!
バックっていう言葉から後ろっていう意味を想像してしまいますが、レイドバックにはそんな意味はそもそも含まれてないようです。

僕も勘違いしていました。
どうしてバックって言葉があるのに後ろって意味が含まれてないの?
backには当然、後ろって意味が含まれています。しかし、laid-backには含まれていない。
ということは、laidって言葉の意味を知ることから始めた方が良さそうですね。
laidというのは実は、「 lay = 横たわる 」の過去形です。つまり laid-backは直訳すると、「後ろに横たわった」という意味になるんですね!
例えばソファーに座ってダラっとしている感じを想像してみてください。いかにも、何の緊張感もなくリラックスしている感じがしませんか?
それがレイドバックの正体です。
つまり、リラックスして横たわっている感じが無いと、レイドバックとは言えないのです!!
音楽におけるレイドバックとは
レイドバックが重要視される理由
ジャズやファンクでは、レイドバックが重要視されることがあります。どうしてレイドバックが重要視されるのでしょうか?それは、
「ジャズやファンクではリラックスすることがめちゃくちゃ重要だから」
という理由です。
レイドバックには「後ろ」って意味は無いってことは、先ほど解説した通りです。だからジャズやファンクは後ろノリが大事ってことではないんですね。
後ろノリじゃなくて、リラックス感が大事。そして、そのリラックス感があたかも後ろノリであるように聞こえるのです!
このポイントがレイドバックを理解するのに非常に重要です。
音楽をレイドバックさせる方法
ではどのようにして音楽をレイドバックさせるのか、また、レイドバックした演奏をするのでしょうか?
当然その方法は「リラックスすること」なんですが、どのようにリラックスするかって結構むずかしいですよね。だからレイドバックする方法とはつまり「どのようにリラックスするか?」の方法と言えます。
リラックスするための方法はいくつかありますが、ここで代表的な方法を3つだけご紹介します。
- よく練習する
何と言ってもこれが一番です!
練習してないのに、初見で超絶難しい曲を演奏させられそうになった時を想像してみてください。
リラックスするなんて、無理でしょう。まずは個人練習の中である程度余裕を持って演奏できるだけの練習をしておく必要があります。 - ゆったりと息を吐く
ボーカルじゃなくても歌いながら演奏すると良いということを聞きますが、本質的には「息を吐きながら演奏するといい」ということが言えます。
緊張すると、どうしても呼吸が止まってしまいます。そして息を吐く時は体を緩めますから、自然とリラックスできるんですね。ゆったりと息を吐くのがポイントです。
どうしてもリラックスできない人は、一度試してみる価値はあるかもしれません。 - ゆったりと体を揺らす
緊張するとどうしても体は固まって動きづらくなってしまいます。そこで、意識的にゆったりと体を前後や左右に揺らしてみてはどうでしょう。そうすることで、無意識に固まってしまった体がほぐれてきて、次第にリラックスできるようになります。
さらに、体を揺らすペースをその曲が持つ拍子や小節の長さと合わせて共振させることで、リズム感も良くなるという優れものです。
ここで大事なのが、「ゆったり動く」ということです。この部分がリラックスに大きく関わってきて、その結果「後ろノリに聞こえる」ということになるんですね。
また演奏者がリラックスしていて、かつ、前ノリであれば、「レイドバックしてるのに前ノリ」という現象も起き得るということです。

なかなか興味深いですね。
まとめ
ということで、レイドバックした演奏とは「後ろノリの演奏」という意味ではなく、「何の心配もなく落ち着いてリラックスした演奏」ということでした。
例えばジャズを演奏しているときに「もっとレイドバックして!」と注文を受けたとしましょう。そのときは、もっと後ろノリで演奏するのではなく、リラックスした演奏を心がけた方が良いということですね!
ぜひお試しください!