今回もまずはおさらい。
「タメと瞬発力」
「On The ONE」
「リズムずらし」
「体内メトロノーム」が身に付き、「タメと瞬発力」でリズムを自由にコントロール出来るようになったら、あとはあなたの音楽そのものをグルーヴさせていきましょう。
この段階で、「バックビートをレイドバックさせる」だとか、「もたった感じで演奏する」だとか、「つっこんだ感じで演奏する」というような事は、自在に操れる事が前提です。
演奏がそのように出来ているかというよりも、体がそのように動いているか、が重要です。
ファンクミュージックは現代における全てのブラックミュージックの祖です。
ファンクネスを感じられない音楽はブラックミュージックではないと言っても過言ではありません。
そんな、音楽を「グルーヴ」させ、ファンクネスを感じさせる為に一番大事なキーワードが、「On The One」です。
それでは早速、「On The One」というものがどういうものなのか、Bootsy Collins(ブーツィー・コリンズ)の動画を見て下さい。
動画でBootsy Collins(ブーツィー・コリンズ)が何度も口にしている「ONE」というのは、決して1拍目という意味ではありません。
このNina Simone(ニーナ・シモン)の動画では、4拍目の裏に「ONE」が来ています。
「ONE」というのは、リズムの帰結する地点とでも言えば良いのでしょうか。
動画を観ていただければ、ニュアンスがつかめたと思います。
ちなみにこの曲は、Nina Simone(ニーナ・シモン)の“Be My Husband”という曲です。
この「ONE」に常にリズムが帰結するように演奏を続ければ、音楽が「グルーヴ」します。
「ONE」以外の部分は、ミスタッチしようがリズムが多少ずれようが「グルーヴ」します。
毎度毎度「ONE」の部分にしっかりとリズムを収束させる事こそが、「グルーヴ」を生み出すのです。
よく「グルーヴ」させる為に、細部までリズムをこだわってレイドバックさせたり、バンドで合わせたりしますが、そんな微調整をいくらしたところで、この「ONE」が意識出来ていない限り、あなたの音楽が「グルーヴ」することはありません。
細かい演奏がずれても良いという分かりやすい例があります。
James Brown(ジェームス・ブラウン)バンドの一時代を支え、最もサンプリングされているドラマー、Clyde Stubblefield(クライド・スタブルフィールド) とJohn “Jabo” Starks(ジョン・ジャボ・スタークス)の動画をどうぞ!
こちらの動画は、二人のドラム教則ビデオの一部です。
このビデオの素晴らしさは、【グルーヴ考察】「Clyde Stubblefield(クライド・スタブルフィールド)とJohn Jab’o Starks(ジョン・ジャボ・スタークス)から学ぶ」で記事にしていますので参考にして下さい。
動画の内容に話を戻します。
Clyde Stubblefield(クライド・スタブルフィールド) とJohn “Jabo” Starks(ジョン・ジャボ・スタークス)のドラムプレイを観てもらえば、感じてもらえば分かるように、途中で細かい音のズレはたくさんありますが、聴いていると自然と体がノってきますよね?
合わさなくてはならない「ONE」の部分でさえ、音の縦の線はずれていて構わないのです。
「ONE」を感じる事、「ONE」で音符ではなくフィーリングを合わす事。それが一番重要なのです。
これが「On The ONE」です。
今までバックビートにばかり集中してグルーヴを意識していた人からしたら、目から鱗だと思います!
現に僕はまだ大学生の頃、ずっとバックビートのタイミングが重要なのだと考え、バックビートを合わす事だけを考えていましたので、非常に硬質な、焦ったようなファンクの演奏になっていました。
そもそも、そんなものはファンクではありませんでした。
しかし、「ONE」という捉え方を知ってからというもの、演奏がずいぶん自由になりました。
ファンクは実はかなりゆったりとした音楽なのだと、体で理解する事が出来ました。
「体内メトロノーム」が養われ、「タメと瞬発力」によって自由に、「One Tne ONE」で演奏すれば、「グルーヴ」させる事は容易いですし、それが出来た瞬間に音楽はとても自由になるのです。
是非ともこの感覚を身につけて、より自由に演奏して下さい!