音楽をしていて、「グルーヴ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?音楽のノリが良かったり、音楽から気持ちいいものを感じると、良いグルーヴと言われたりします。
でも、この「グルーヴ」という言葉、かなり人によって捉え方がまちまちで、「グルーヴ論争」なんていう言葉が出るくらい、みんなの中で「これがグルーヴだ!」「いや違うグルーヴとはこうだ!」というような議論がされています。
つまりグルーヴは、まだまだ「明確な定義がされてない」と言えます。そんなよく分からないグルーヴについて、一つの考え方を提示してみようかと、「グルーヴとは?」シリーズとして何本か記事を書いていこうと思います。
結構長い連載になって、しかもちょっと小難しい内容があるかもしれませんが、他ではあまり説明されていないような内容になってますので、ご興味のある方はぜひご覧ください!
はじめに
グルーヴとは何かを考察する時、「グルーヴとは〇〇である!」というような簡単な書き方はできません。それは、「人間とは〇〇である」というように言い表すことに似ていて、とても一言で表現できるものではありません。
そこで、グルーヴを構成する要素を丁寧に分解して、それをまた一つ一つ分析していくことで、グルーヴの全貌を明らかにしていきたいと思います。
グルーヴの目指すものとは?
まず、グルーヴそのものについて考える前に、「何のために音楽をグルーヴさせるのか?」ということを探っていこうと思います。つまり、グルーヴの目的が明確になってないと、どういう手段が有効なのかが見えてきませんね。
グルーヴという言葉ができる前に、名前がないだけでグルーヴという現象はあったはずです。人々が音楽を聴いて踊ったり、気持ちよくなったり、気持ちが高揚したり、そのような状態に対して誰かが「グルーヴ」と名付け、その名前が浸透したと考えられます。
では具体的に、どのような状態になっている時、「グルーヴ」と呼ばれたのでしょうか?ここでは、「感情」の側面と、「感覚」の側面から考えてみたいと思います。
グルーヴに求める感情の種類
どのような感情が出た時に「グルーヴしている」と呼ばれるのでしょうか。たくさんあると思いますが、基本的な感情を4つピックアップしたいと思います。
喜び
まず一つ目は、「喜び」です。グルーヴしてくると何だか嬉しくなり、気分が高揚します。
逆に言うと、気分の高揚がなく、喜びを感じられないものはグルーヴしていないとも言えますね。喜びを感じた時、「グルーヴしている!」と感じるようです。
楽しさ
喜びに似ていますが、「楽しさ」も挙げられます。グルーヴした音楽に浸って踊りまくるのは、純粋に楽しいですよね。
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なぜ喜びと楽しさを区別しているかと言うと、心理学的には喜びと楽しさは別の感情とされているからです。「楽しさ」という感情についての詳しい分析は、また別の記事でしますね。
どんな時に楽しくなるのか分かると、どうすれば楽しくできるか、つまりどうすれば「グルーヴ」できるのかが分かりそうです。
安心感
あるジャズドラマーはグルーヴについてこう言っています。
「何の緊張も苦痛も無く、そのグルーヴに乗って落ち着いていられるし、後戻りすることも先に行くこともない」
つまり、何かしらの安心感を持って演奏しているということが言えそうです。それは聴衆も同じで、グルーヴしている音楽を聴いて不安になるってことはあんまり考えられないですよね。
安心感とは何か、どのような時に安心感を得られるかが分かれば、グルーヴのヒントになりそうです。
幸福感
最後に、「幸福感」です。
ちょっと宗教っぽい響きがするんですが、しかし、ゴスペルを始め宗教の一部としてグルーヴが大切にされていることは間違いありません。
宗教の目指すものとして「救い」「幸福」「平和」などがあると思いますが、その中で感情的な部分である「幸福」に焦点を当てることで、グルーヴについての理解も深まりそうです。
以上、この4つの感情が現れた時、人は「グルーヴしている」と感じていそうですね!つまり、「喜び」「楽しさ」「安心感」「幸福感」の感情について知ることが、グルーヴについてのヒントになりそうです。
グルーヴに求める感覚の種類
次に、どんな感覚があったとき、「グルーヴしている!」と感じるのでしょうか?代表的と思われる感覚を3つ挙げたいと思います。
気持ち良さ
まずこれは欠かせないでしょう。「気持ち良さ」です。
気持ち悪いリズムなのに、「グルーヴしてる!」って感じる人は多分いないと思います。「気持ち良さ」はグルーヴの基本要素と言っても過言ではないでしょう。
体が勝手に動く感じ
これもよく言われることですね。「このグルーヴ、体が勝手に動いちゃう!」っていうことを聞くことがあります。
どういった時に人の体は動くのか、その仕組みが理解できると「グルーヴ」の正体も掴みやすくなりそうです。
一体感
最後に「一体感」です。これは著名なミュージシャンなどが「グルーヴはみんなが全く同じ方向に沿って演奏している時に起こる」 とか 「一旦同じリズムにロックされると、お互いが演奏している道筋を予想したり、読んだりできる」などと言っているように、みんなが一体となった状態のことをグルーヴと呼ぶ傾向があります。
一体感とはそもそも何か?どんな時に一体感が得られるのかを考えると、さらにグルーヴの本質へ迫れそうですね!
まとめ
以上、グルーヴさせたその先に、どんな感情や感覚があるのかを整理してみました。グルーヴさせる目的は、それらの感情や感覚を得ることにあります。
つまり、グルーヴ自体は目的ではなくグルーヴは手段ということです。このことを基本スタンスとして、何本かの記事に分けてグルーヴについて考えていきたいと思います。
次回は、まずはグルーブから得られる「感情」について、もっと詳しく分析してみようと思います。お楽しみに!