バンドやジャムセッションをした事がある方なら、「グルーヴ」という言葉を聞いた事があると思います。英語表記はGrooveです。
グルーヴというものを一言で表して下さいと聞くと、
「ノリ」
「うねり」
「一体感」
「ズレ」
など、人によって様々な答えが返ってきます。
どれも正解でもあり、不正解でもあります。
「グルーヴ」は、人によって定義が様々で、はっきりとした実像の無い、極めて感覚的なものです。
ここで語る「グルーヴ」というものがどういうものか、先に説明しておきます。
ここで語る「グルーヴ」は、メンバーやリスナーと音楽を共有する上での「コツ」のようなものの一つです。
自分の演奏を他人と共有するには、自分の演奏が他人に影響を与えなくてはなりません。
つまり、自分の演奏で「ノせる」という事です。
それが周りに伝わって、周りが「ノッた」結果、自分にもその影響が返ってくる。
「グルーヴ」とはそのようなイメージです。
そのような状態を「グルーヴする」といいます。
とは言ったものの、「グルーヴ」というのは、とても簡単に言葉では言い表せないのです。
今述べた事もひとつの側面に過ぎませんし、あくまで個人的な感覚です。
しかし、バンドメンバーや音楽仲間と「グルーヴ」について共通の認識を持つ事は非常に重要ですので、“感覚”などという言葉ですべて片付けて、この問題を棚上げにするのはもったいないです。
そこで、ここでは特にアフリカンミュージックをルーツに持つFunk、R&Bなどのブラックミュージック、そしての流れを組む音楽に視点を置いて語ります。
「グルーヴ」とはどういった特性を持っているのか、また、演奏を「グルーヴ」させるにはどうしたら良いかなど、語っていきます。
ひとつ注意して欲しいのは、リズムの話なのでドラマーにとって一番重要な話だと勘違いされがちな点です。ドラマー、ベーシストはこの問題に非常に興味を示す傾向にありますが、その他のいわゆる“ウワモノ”と呼ばれる楽器、ボーカルの人からは関心が薄い傾向にあります。
「グルーヴ」は、むしろギター、鍵盤、管楽器などの楽器奏者、ボーカルにこそ習得されるべき事柄なのです。
なぜなら、ドラムもベースも“リズム”に対してアプローチするため、この感覚が自然と育ちやすいからです。しかし“ハーモニー”に対してアプローチしがちな“ウワモノ”は、この感覚がすっぽり抜け落ちている事が多いのです。
「グルーヴ」していない「ウワモノ」の人は、ドラム、ベースに「グルーヴ」させて自分はその上に乗っかっているつもりでも、実は「グルーヴ」を損なう原因となっている可能性が大きいのです。
では次回から、グルーヴというのが、一体どういうもので、どのように体得すればよいのか、僕なりに考えてきた事を、参考になる動画を交えつつ、書き連ねていきたいと思います。
※日本で生まれ育った僕が、出来るだけ黒人のグルーヴに近づこうとして考えてきた事です。
世界では「グルーヴ」の研究も進んでいるようです。
間違っていると思われる内容、考察の甘い部分もあるかもしれませんが、ご容赦下さい。
【グルーヴ考察】その5「On The ONE」
【リズムとグルーヴ】記事一覧