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【グルーヴ考察】その6「リズムずらし」

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今回もまず、おさらいから。

「グルーヴ」させるためのキーワードは、 
 
「体内メトロノーム」 

「タメと瞬発力」 

「On The ONE」 

「リズムずらし」
 
です。 

前回の内容で、グルーヴさせる為には「ONE」を常に感じている事が重要だという事を理解していただけたかと思います。

今回は上級編「リズムずらし」です。 
これを実践する為には、「ONE」を常に感じる事はもちろんですが、その上でリズムを自由に変化させる事が出来なくてはなりません。 
その為には「体内メトロノーム」がしっかりと無ければいけませんし、自在にリズムをコントロール出来ないといけません。
勘違いしてはいけないのは、これは決して楽器の演奏の話ではないという点です。
体、意識のコントロールの話です。
楽器の正確なコントロールによってグルーヴを生み出すのではなく、あくまで演奏者から溢れ出すグルーヴによって楽器がコントロールされるべきです。

少し話がずれましたが「ずらし」とはどういうものか、動画をご覧下さい。



これはJB’sのトロンボーン奏者、Fred Wesley(フレッド・ウェズリー)のレコーディング動画です。
動画の前半、トロンボーンだけ聴こえる部分では、あまりリズムが見えてこないですし、とても曖昧な感じで、どんなフレーズを演奏しているのか把握しづらいです。

ひょっとしたら、これが下手くそに聴こえる人も結構いるんじゃないでしょうか?
 
しかし動画の後半で、伴奏も入ったバージョンがBGMとして流れますが 、それを聴くと、とてもグルーヴした、かっこいい演奏に聴こえますよね!
おそらく
Fred Wesley(フレッド・ウェズリー)は「ずらし」ている感覚はないのでしょう。

しかし、日本という環境で育って来た私たちがこのグルーヴに近づく為には、少なからず「ずらし」ていく必要があるのです。 そのうちそのズレが自分のものになると思います。

新事実を発見しました!
「リズムずらし」についての今までの見解を改めなければなりません。
以下の記事にて詳しく解説しています。キーワードは「母音」と「子音」です。
目からウロコ!楽器にも「子音」と「母音」がある! 
【子音と母音とグルーヴ】日本人が“ズレ”ていると感じても、実は「子音」はバッチリ合っていた!
【子音と母音とグルーヴ】楽器の子音と母音を意識しだすと、日本人の演奏は日本語にしか聴こえなくなる!
【子音と母音とグルーヴ】脱・日本人特有のグルーヴ!子音を意識した演奏方法を教えます!
この事実については、現在研究中です。
日本人がズレていると感じる演奏は、実は「子音」にフォーカスすると合っていたんです。

しかし最近では、ブラックミュージシャンたちも、わざと大きくずらしてグルーヴを作り出しています。
コンテンポラリー・グルーヴとでも名付けましょうか。
グルーヴも進化しています。

次の動画をどうぞ。
『AFRO PUNK FEST 2014』でのD’Angelo(ディアンジェロ)のライブ映像です。
バックの演奏はThe Roots(ザ・ルーツ)のメンバー。
聴いて欲しいのは14:23からのリフです。


曲はBob Marley(ボブ・マーリー)の“Burnin and Lootin”のカバーです。

ここまでいくと、意識的に「ずらし」にかかっていますよね。
具体的に言えば、ギターとベースがかなりレイドバックさせて、ドラムはよれたリズムで部分的につっこんだりしている感じです。

「ONE」の音も、ずれています。
しかし、全員の意識が「ONE」に帰結しているため、すごくグルーヴしています。
それどころか、ずれればずれるほどグルーヴしてくるようです。
誰かの「ずらし」に対して他の誰かが「ずらし」、どんどんリズムがうごめいていきます。

ここで注意して欲しいのは、リズムの要と言われるドラムは、そこまで大きくずらしていないという事です。ドラムは、全体がめちゃくちゃにならないようにキープしているような感じです。

つまり、グルーヴを作り出す為に一番重要なのは、リズムの要であるドラムよりもむしろ、管楽器やギター、鍵盤などのウワモノ楽器であるという事実が判明しました。

しかし肝心のウワモノ楽器の人の意識は、速いフレーズを正確に演奏することや、スケールを理解する事、ピッチ(音程)などに向きがちです。
もちろんそれはとても大事な事ですが、リズム、グルーヴというのは決して無視出来ない要素です。
一度、自分の楽器をリズム楽器として捉え直し、周りの演奏に耳を傾け、それに反応した自身の体の中から溢れ出るグルーヴを余す事無く楽器に伝え、その上で良く勉強されたスケールと感性から生み出される素晴らしいフレーズを、素晴らしい音程で演奏して下さい。

自分の意識、そして体全体から楽器を通じて音に。
この順番を決して間違えないようにして下さい。
音楽とは楽器のコントロールではなく、常に他者との対話であるべきです。 

最後に、ファンクの祖、James Brown(ジェームス・ブラウン)の名言を紹介して締めたいと思います。

JB:(ギタリストに向かって)「お前の持ってるそれはなんだ?」

ギタリスト:「ギターです。」

JB:「違う!それはドラムだ!」

JB:(トランペッターに向かって)「お前の持ってるそれはなんだ?」

トランぺッター:「トランペットです。」

JB:「違う!それはドラムだ!」

つまりは、そういうことなんです。

グルーヴについての考察は以上ですが、研究や考察に進展があったり、参考になる動画を見つけたら追記してきたいと思います!

【グルーヴ考察】その1「グルーヴとは、なにか」 

【グルーヴ考察】その2「グルーヴしている状態」 

【グルーヴ考察】その3「体内メトロノーム」 

【グルーヴ考察】その4「タメと瞬発力」 

【グルーヴ考察】その5「On The ONE」 

【グルーヴ考察】その6「リズムずらし」 

【リズムとグルーヴ】記事一覧

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